自信が持てなかった私が、職場で「自分らしく」輝けるようになった話
「どうせ私なんて」「失敗したらどうしよう」自信が持てなかった過去
あなたは、職場で自分の意見を言うのをためらったり、新しいことに挑戦するのを躊躇したりした経験はありませんか。周りの人が皆優秀に見えて、「どうせ私なんて」と感じてしまったり、失敗を恐れて無難な選択ばかりしてしまったり。
かつての私は、まさにそんな状態でした。仕事への意欲がないわけではないのに、会議で発言しようとすると、声が喉につかえるような感覚。何か新しいアイデアを思いついても、「こんなことを言っても、どうせ価値がないだろう」と打ち消してしまい、結局何も提案できませんでした。
周りの同僚は自信を持って堂々と話しているように見えて、自分だけが置いていかれているような劣等感を感じることもありました。失敗をひどく恐れていました。「もし失敗して怒られたらどうしよう」「能力がないと思われたらどうしよう」そんな不安が常に頭をよぎり、結果として、できることしかやらない、言われたことだけを正確にこなす、という消極的な働き方になっていました。
仕事自体に大きな不満があったわけではありませんでしたが、どこか満たされない、息苦しい感覚が常にありました。「もっとこうしたい」という気持ちがあっても、それを表現できない。自分の本当の力を発揮できていない、自分らしくいられていない、そんな思いを抱えていました。
小さな一歩が扉を開けた
そんな私が、少しずつ変わるきっかけとなったのは、あるプロジェクトでの経験でした。新しいリーダーがチームに加わり、その人の働きかけでチームの雰囲気が変わり始めたのです。
そのリーダーは、メンバー一人ひとりに「何か困っていることはない?」と頻繁に声をかけ、話をじっくり聞いてくれました。最初は「形式的なものだろう」と斜に構えていた私ですが、何度か話すうちに、本当に私たちの状況や考えを理解しようとしてくれているのを感じました。
ある時、私は担当業務で行き詰まっていました。これまでは一人で抱え込み、どうにもならなくなってから初めて報告する、というパターンでした。しかし、そのリーダーの顔を思い浮かべ、「もしかしたら、話しても大丈夫かもしれない」という気持ちになりました。勇気を出して、状況と自分の考えを伝えてみました。
するとリーダーは、私の説明を遮ることなく最後まで聞き、「なるほど、そういう状況なのですね。難しい課題ですね」と共感を示してくれました。そして、「一人で抱え込まずに話してくれてありがとう。一緒に解決策を考えましょう」と言ってくれたのです。その時、肩の力がすっと抜けるのを感じました。「責められないんだ」「話しても大丈夫なんだ」と、心から思えました。
リーダーだけでなく、チームの他のメンバーも変わっていきました。誰かが質問すると、「良い質問だね」と肯定的な言葉が返ってきたり、失敗談を共有すると「次はこうしてみようか」と前向きな改善策が議論されたりするようになりました。以前は「失敗は隠すべきもの」という雰囲気がありましたが、そこには「失敗は学びの機会」という空気が生まれていました。
「自分らしさ」が見つかる場所
そんな心理的安全性の高い環境の中で、私の内面も少しずつ変化していきました。自分の意見を言うことへの抵抗感が薄れ、会議で小さな発言をしてみるようになりました。最初は緊張しましたが、誰も否定せず、真剣に耳を傾けてくれるのを感じて、次に繋げる勇気をもらえました。
自分の得意なことや、逆に苦手なことも、以前より素直に話せるようになりました。すると、他のメンバーが私の得意な部分を活かせる役割を提案してくれたり、苦手な部分をさりげなくサポートしてくれたりするようになったのです。自分一人では成し遂げられなかったことも、チームでなら実現できることを実感しました。
失敗を恐れる気持ちも完全になくなったわけではありませんが、「失敗しても大丈夫。チームでカバーし合える」という安心感があるため、新しいことにも挑戦できるようになりました。失敗しても、それを隠すのではなく、チームに共有して次への改善に繋げる。このプロセスを経験するうちに、失敗は恥ずかしいことではなく、成長のための貴重なステップだと捉えられるようになりました。
以前は、周りからどう見られるか、評価されるかばかりを気にして、萎縮していました。しかし、心理的安全性の高い環境では、自分の能力や考えを安心して表現できるため、自然と「どうすればチームに貢献できるか」「どうすればもっと良い仕事ができるか」ということに意識が向くようになりました。
それはまるで、ずっと曇り空の下にいたのが、晴れ間が出て光が差してきたような感覚です。自分の中にあった可能性やアイデアを、臆することなく表に出せるようになったことで、仕事が以前よりずっと面白く、やりがいのあるものに変わりました。
まとめ:心理的安全性が育む、あなた自身の輝き
心理的安全性は、単に「仲良しチーム」や「ぬるま湯」ではありません。それは、メンバーが失敗を恐れず、率直に意見を交わし、助けを求め合える、つまり「恐れなく話せる」環境です。
このような環境は、個人の内面、特に自信にも大きな影響を与えます。自分の意見や弱み、成功も失敗も安心して共有できることで、「自分はここにいて大丈夫だ」「自分の考えには価値がある」と感じられるようになります。これが、自己肯定感を育み、自信に繋がるのです。
そして、自信を持って自分の能力や個性を発揮できるようになった時、人は最も「自分らしく」輝くことができるのではないでしょうか。かつての私のように、職場で息苦しさを感じ、自信を持てずにいる方がいらっしゃるかもしれません。
心理的安全性の高い環境は、誰か一人が魔法のように作り出すものではありません。それは、チームメンバー一人ひとりの小さな言動、例えば、相手の話を最後まで聞く姿勢、感謝を伝える言葉、失敗を責めない態度、困っている人に手を差し伸べる行動など、日々の積み重ねによって育まれていきます。
もし、あなたの今の環境がそうでないとしても、希望を失わないでください。あなたが信頼できる人との間に、まずは小さな安心できる関係性を築くことから始めてみるのも良いでしょう。あるいは、心理的安全性を大切にしているチームや組織を探してみることも一つの選択肢です。
心理的安全性が育むのは、チームのパフォーマンス向上だけではありません。それは、そこで働く一人ひとりが、本来持っている力を発揮し、自信を持って「自分らしく」輝けるようになるための、温かい土壌なのです。あなたの内にある輝きを、安心して解き放てる場所が必ずあると信じています。